乃木坂46『透明な色』白石麻衣&西野七瀬インタビュー

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乃木坂46『それぞれの椅子』白石麻衣&西野七瀬インタビュー

──1stアルバム『透明な色』から1年5ヶ月、早くも2ndアルバム『それぞれの椅子』が発売。前作がCDデビューから約3年経てのことだったので、それと比較して驚いたファンも多かったんじゃないかと思います。

白石 私もビックリしました。

──しかも西野さんの誕生日に発売ですものね。

西野 あ、そうだ(笑)。でも私もこんなに早く次のアルバムが発売されるとは思ってもいなかったです。

──前作『透明な色』もとても印象的なタイトルでしたが、今作もイマジネーションを掻き立てられるタイトルですよね。このタイトルにはどういう意味が込められているんですか?

白石麻衣

白石 乃木坂46のメンバーがひとつの椅子を目指すのではなく、1人ひとり自分にあった椅子があるんだ、それぞれいろんなことに挑戦していこうという思いが込められているんです。

西野 前作もそうだったんですけど、いくつかあるタイトル候補の中からメンバーが票を入れて、その結果を受けて検討するという形だったんです。私、票を入れるときっていつも競争にならなそうな、あんまり票が集まらなそうなタイトルを選ぶんですけど、前回はそれが『透明な色』だったんですよ。でも今回は『それぞれの椅子』というタイトル、最初の候補の中に入ってなくて。

白石 そうだったよね。だからきっと、みんなの投票結果を受けてから秋元(康)先生が新たに思いついたのかもしれない。

──なるほど、そうだったんですね。おふたりの説明を聞くと今作にユニット曲が多いのも頷ける話で。メンバーのいろんな組み合わせを試すことで、新たな“椅子”を見つけるきっかけになるのかなと。

白石 確かにそうですね。いろんなユニットに加えて今までになかったタイプの楽曲もあるので、従来の乃木坂46ファンにも新鮮な気持ちで楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

──タイトルに加えて、アルバムのアートワークも個性的ですよね。

西野 ですよね。私、すごく気に入ってます。前作では乃木坂駅で撮影したけど、今回も乃木坂にある国立新美術館で撮影させていただいて。そういう場所があるっていうのはいいですよね。ファンの人も行ってみたいと思うかもしれないし、私たちと一緒のポーズで写真を撮りたいと思うかもしれないし(笑)。

白石 衣装の赤と青が合わさることで、乃木坂46のイメージカラーである紫になる。この赤と青に分けたアイデア、すごくないですか? 最初に聞いたときは正直ビックリしました。最初は何も知らなくて「青が着たい!」と思ってたんですよ(笑)。でもその理由を聞いてからは「そういう問題じゃないんだ!」と気づいて、正直恥ずかしくなっちゃいました。他にはない、ちょっと不思議なジャケットですよね。

──どこか記号的なデザインというか。

白石 確かにそっちの要素が強いですね。


──さて、アルバムの内容ですが。前作『透明な色』以降に発表されたシングル表題曲4曲に加え、人気のカップリング曲、そして全仕様トータルで11曲もの新曲が用意されています。

西野 「命は美しい」が1曲目っていうのは、なんか嬉しいですね。見慣れないタイトル(=新曲)が多いから、新鮮ですし。

白石 不思議なタイトルの曲が多いよね。「光合成希望」とか、単語の組み合わせが面白いというか。

──確かにインパクトの強いタイトルが多いですね。そこがいい意味で曲調と結びつかず、意外性が強いなと。

白石 そうですね。

──新曲もいろんなタイプの楽曲が揃いましたね。それこそ選抜曲でいうと「きっかけ」と「太陽に口説かれて」ではタイプがまったく異なりますし。

白石 ですよね。「きっかけ」は杉山勝彦さんの曲で、王道の乃木坂曲。歌詞もすごくいいんですよね。

西野 「太陽に口説かれて」は今までの乃木坂にはなかったラテン調の曲だけど、それもまたいいなと思いました。

白石 この曲を初めて聴いたときは「この曲を乃木坂が歌うんだ!」という驚きがあったんですけど、アルバムの中に入るとすごくバランスがいいなと思うんです。あと「Ride on!」のパート、実は私といくちゃん(生田絵梨花)となぁちゃん(西野)の3人が担当してるんですよ。カラオケで歌うときは、ぜひこのパートも含めて盛り上がってほしいですね(笑)。

──白石さん、西野さんはそれぞれユニット曲やソロ曲にも参加しています。白石さんは衛藤美彩さん、高山一実さん、橋本奈々未さん、松村沙友理さんの5人によるユニット曲「空気感」。

白石 この曲はアップテンポでもなくバラードでもないという、ゆったりした曲調でとても歌いやすかったです。歌詞も「クレンジングジュース」や「アリアナ・グランデ」といった今の時代を象徴する言葉が使われているので、親近感を抱いてくれる同世代の人たちも多いんじゃないかな。

──今作のユニット曲は特にソロパートが多いぶん、それぞれの歌声がはっきりとわかりますね。

白石 そうなんです。だからファンの方達にとっては「この子、歌うとこういう声なんだ!」っていう驚きもあるんじゃないかなと思います。それにメンバーからしても「あ、こういう曲だとこういうふうに歌うんだ」と気づけて楽しいですしね。

──西野さんのソロ曲「光合成希望」は、これまでのソロ曲とはタイプが違いますよね。

西野七瀬

西野 今までは全部バラードだったけど、今回は初めてアップテンポで。この曲のキー、実は私にとっては意外と高くて、こういうキーで歌ったこともなかったから、完成した曲を聴いたときは新鮮でした。きっとファンの皆さんも驚くんじゃないかな。

──この曲を含めるとすでに5曲のソロ曲を発表していますが、1人で歌うのは慣れましたか?

西野 どうなんだろう……去年のツアーでも毎回ソロ曲(「もう少しの夢」)を歌っていたんですけど、あの曲は歌うのが難しくて。なかなか自分が納得できるようなパフォーマンスができなかったんです。でもこないだの「釣り堀」はわりと歌いやすかったので、曲によって全然違うのかな。とはいえ余裕を持って歌うのも難しくて、ずっと緊張状態で超慎重に歌ってます。

──今回の「光合成希望」は今までと正反対の曲調なので、ステージで歌うことになったらまた全然違う感じになるんでしょうね。

西野 そうですね。きっと振付も付くでしょうし。

──最初の「ひとりよがり」の頃と比較すると、どんどん成長している感が伝わってきますが?

西野 本当ですか? いつもお風呂に入ってるときに練習してます(笑)。うまくはないんだけど、歌うこと自体はめっちゃ好きなんです。

──西野さんの歌は、歌うことが楽しいという気持ちがちゃんと伝わる歌だと思いますよ。

西野 嬉しいです。今度のツアーでもちゃんとそういう部分が伝わるように頑張ります。

──これ以外にも、本作には本当に聴きどころの多い新曲ばかりですよね。

白石 ですね。1期生アンダーメンバーの「欲望のリインカーネーション」もカッコいいし。

西野 あの曲は英語の歌詞が多いのがカッコいい(笑)。

白石 確かに(笑)。そしていくちゃんのソロ曲「低体温のキス」がね、すごいんですよ! ぶっ飛んでいて、「いくちゃん、こんな歌も歌えるんだ!」っていうところもすごいなと思うし。あとは女子校4人組(秋元真夏、桜井玲香、中田花奈、若月佑美)が歌う「口約束」の真夏のソロに大注目ですね。本人が自信満々に「聴いて!」と言っていたので。真夏の歌声って今までの楽曲でもそこまで目立つ感じでもなかったし、かずみん(高山一実)とかと一緒になるとかき消されてしまうので、こういうふうにしっかりとソロの歌声が聴けるというのはいいですよね。なので早くゲットして、じっくり聴き込んでほしいですね。

──そして今作はライブには欠かせない1曲、「乃木坂の詩」で締めくくるというのも意外性がありますし。

白石 やっぱりライブでも最後に歌ってるから、アルバムでも最後に持ってくるとまとまり感が出ますよね。

──その他にもアルバム後半にはシングルのカップリング曲が多数収録されています。ライブの定番曲あり、アンダー曲ありと各仕様ごとになんとなくテーマが設けられてるような印象もあって。

白石 うん、確かにそうですね。

──この中で、特に気に入ってる曲はありますか?

西野 「ロマンスのスタート」はいいですよね。自分が歌ってない曲では、まいやんが歌ってる「立ち直り中」や「急斜面」がすごく好き。

白石 嬉しい! 「立ち直り中」はメロディとか曲の入り方とか、すごく気に入ってます。

西野 あと、アンダーの曲はどれもいいですよね。

白石 私も「嫉妬の権利」とかアンダー曲が好き。最近の選抜はしっとりとした楽曲が多いんですけど、アンダーってカッコいい曲調が多いんでよ。いつもカッコいいなと思っていて、知らない間に口ずさんでいるんです。

西野 うん、カッコいいダンスばかりなので、羨ましいなって。

白石 特に「嫉妬の権利」や「不等号」はカッコいいですよね。

──これだけ新曲がドッと増えると、次の全国ツアー『真夏の全国ツアー2016』での披露も楽しみになってきますね。特に今回はライブを意識した新曲も多い気がしますし。

白石 今までたくさんの曲を発表してきましたけど、AKBさんでいう「恋するフォーチュンクッキー」みたいな「乃木坂といったらこの曲!」という万人が知ってる1曲がまだないような気もしていて。このアルバムの中からそういう楽曲が生まれてくれたら嬉しいですね。


──そしてType-A〜Cの付属DVDには、2014年8月に実施された乃木坂46初の明治神宮野球場ライブの映像が初収録されます。

白石 もう2年前なんですね。懐かしい(笑)。

西野 オープニングで私、思いっきり叫んだのをよく覚えてます(笑)。天気も雨予報だったけど晴れて、ちょうど始まるぐらいの時間が夕焼け前ぐらいですごくキレイだったなぁ。

──そういう意味では2014年と2015年の神宮ライブは対照的でしたよね。

白石 でも私、去年は去年で雨のライブも楽しくて。新鮮だったから、そのほうが思い出になる気もしますし(笑)。

──もしかしたら現在のファンの中には、この当時のライブを知らない人も多いかもしれませんね。

白石 そういう人たちにはうってつけの作品かな。CDもボリューミーですし、ライブ映像も楽しめるし。

──さらにType-Dの特典には「まゆこの動画」という秘蔵映像が収録されます。

白石 これは昔の映像含め、私たちも観たことないような映像もたくさん入ってるから、文字どおり本当に秘蔵映像だと思います。ファンの方からしたら本当にレアなんじゃないかな?

西野 でもどんな映像が使われてるのか若干不安なので、できれば中身をチェックしたい(笑)。

白石 確かに!(笑)


──アルバム用特典イベントも多数用意されていますが。

白石 そうなんです(笑)。「残念!マネージャーと乗る“屋形船”台場〜越中島〜東京スカイツリーの旅」とか「残念!マネージャーと“黒ひげ危機一髪ゲーム”」とか。

西野 この情報が発表された後の握手会で、「俺、マネージャーと屋形船乗りたいんだよね!」っていう人も意外といたし(笑)。

白石 今後もスタッフさんと交流できる機会があるかどうかわからないし、もしかしたら人気のイベントになるんじゃないかなと思います。しかも、ちょっとシュールでユルい感じがして、逆にそこが乃木坂らしいのかな? 中には私たちがやったことないような企画もあるので、どんな感じになるのか今から楽しみですね。

──思えば乃木坂46はこれまでも似顔絵や録音会など、いろいろやりましたものね。

白石 そうですよ。サイン書きます会とかお茶会とか。こういう身近に感じてもらえるイベントはすごくいいなと思います。

──では最後に、これからアルバムを購入しようと考えている皆さんに向けて、それぞれオススメポイントを聞かせてください。

西野 「きっかけ」と「太陽に口説かれて」は曲調だけじゃなくて歌い方も全然違うので、そこも注目してほしいです。それと「この曲のこの部分の歌い方が好きだよ」という意見って結構嬉しいので、自分のお気に入りのパートと声を探してみてください。あとはアルバムをじっくり聴いて、ツアーの予習をしたり合いの手を考えたりするのも楽しいんじゃないかな。

白石 特に新曲はツアーでも披露すると思うので、全部完璧に歌えるぞってくらい聴き込んでからライブに臨んでほしいですね。そしてまだ乃木坂46のライブに来たことがない人は、DVDのライブ映像を観て「乃木坂のライブってこんな感じなんだ!」と興味を持ってもらえたら嬉しいです。特に東京はDVDと同じ神宮なので、シミュレーションしやすいと思いますし。

──今年の神宮ライブではこのDVDのライブから2年経ってさらに成長した、今の乃木坂46の姿を見せることもできますしね。

白石 そうですね。しかも今年は3DAYSで、あの場所に3日間も立てるなんて光栄なことですよ。毎年この『真夏の全国ツアー』を完走したら乃木坂の夏が終わるって感じがするので、今年も一緒に素敵な夏の思い出を作りましょう!

(取材・文/西廣智一)

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